出会いは突然やってきた。
学生時代、初夏の大学のキャンパスを友達と二人で歩いていた博美は後ろからの聞き覚えのある声で呼びとめられた。
博美さん、ちょっと時間ある?
その声の持ち主はサークルの先輩のアキラだった。
今まで見たことない表情をしている。
博美は事態をすぐに理解できた。
自分の顔が熱くなるのを感じ、それを悟られまいとうつむいてしまった。。
好きなんだ。。つきあってくれないかなぁ。。。?
その日二人は一緒に学校を後にした。
博美は自分の自転車を押しながらアキラと歩いた。
博美とアキラは割と近くに住んでいてサークルの帰りにはよく一緒に帰っていた。
今日もその時とまったく同じ光景なのだが博美は胸のドキドキが収まらなかった。
博美はこの学校に入学して以来、アキラのことをずっと目で追いかけ、ずっと想っていたのだった。
博美は帰ってからも興奮が収まらずどうしていいかわからずお風呂に浸かることにした。
お気に入りのバスボムをいれてゆっくりと肩まで浸かった。
口元まで浸かってブクブクブクブクと泡を立てたり伸びたり縮んだりして落ち着かない。
鏡をみて百面相をしたり。。。
うへへへ。。。
自分がかすかに笑っていることに気付き、自分のことが少し心配になった。
そうこうしている時だった。
携帯の呼び出し音が聞こえてきた。
あの音は!そう、アキラだった。
博美はバスタブから勢いよく飛び出しそのままバスタオルを持って携帯を取った。
今日はありがとう。。。おれ。。うれしかったよ。。
博美はまたドキドキ病が再発した。
何か言わなきゃいけない、どうしよう?どうしよう?どうしよう?
よろしくお願いします!!
あぁ、やってしまった。。。もっと何かなかったのかよう。。
これじゃいつもの先輩後輩の会話じゃんかよう。。。
そう思い、床にへたり込んでしまった。
フフフ。。。こちらこそよろしくね。
じゃ、また明日。
この「じゃ、また明日」はいつもサークルの帰りにアキラが使う挨拶の言葉だった。
でも博美には今までの「明日」とこれからの「明日」では全然意味が違ってて、今アキラが言った「明日」はキラキラ輝いているように感じられた。