ヒロミの不安は的中しつつあった。
それはしだいにヒロミの心の中の大部分を占めるようになってきた。
アキラは目に見えて帰りが遅くなり帰ってきてからもパソコンでなにか作業をしているようだった。
その後ろで青い魚を眺めながらアキラの様子をうかがっていたヒロミはアキラがやつれてきたのに気付いた。
ヒロミは頑張っているんだなと思いつつもそのアキラの領域に入っていくことができず何か隔たりを感じていた。
うまく言葉に表せない感情が湧いてきてそれはきっと寂しいということに似た感情なのだと思った。
この感情をアキラに伝えることもなく、伝えることもできないのだけれども私も頑張らなきゃなという思いでこの寂しさめいたものから抜け出す毎日だった。
その隔たりは月日が経つほど大きくなっていった。
ヒロミはアキラの部屋で一人でいるのがつらくなり自分の部屋に帰るようになってきた。
アキラの部屋にいると楽しかった思い出がそこらじゅうにありそれがメリーゴーランドのようにグルグルと回りだすような妄想を抱くようになってしまったのだ。
学校の授業にも余裕が出来てきたのでアルバイトを始めた。
アルバイトが忙しいとアキラが休みの土日も出勤しなければならず二人はとうとうすれ違うようになってきた。
ヒロミはもうどうしようもできないと感じていた。
楽しかったあの頃に戻りたいのでもない。戻れないのはわかっている。
ただ今の状況は寂しい。でもどうすることもできない。
アキラは頑張っていると思う。誰も悪くなんかない!
でも、寂しい。。。
ヒロミはある種の苛立ちを覚えてそれを働くことで忘れようとしていた。